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二兎を得るか、一兎をも得ざるか

合同会社を作ってみたよ【その1・登記完了まで】

以下の理由でさくっと合同会社を作ってみたので備忘録にしておきます。

  • 法人の運用・法律・経理・税務の仕組みを実践して知りたい
  • 出ていくお金をできるだけ経費にしたい
  • なんだか歳とっちゃったし変わったことにチャレンジしたいなあ
  • インボイスのゴタゴタに巻き込まれたくない (後日追記: 法人だからといって回避できるはずはなく順当に巻き込まれる予定)

ずっと個人事業主をやっていたので、いわゆる「法人成り」と呼ばれるものです。
残念ながら儲かってはいないぞ! 同情はいらん金をくれ金を

sogyotecho.jp



法人名・番号・出資金など、どうせそのうちバレるんですがなんとなく念のためボカシいれてます。あまり気にしないでね。

1. まず今の会計ソフトを解約する

やよいオンラインとMisocaを使っていましたが、アプリごとの操作性・銀行口座連携・カード連携などがなんとなく勘に合わなかったので乗り換えることにします。

契約更新が3月末に迫っていたので更新を一旦取り消ししました。
無料プランという表記になり、4月末までは使えるようです。
使っていた帳票類や確定申告書類、請求書類などを根こそぎダウンロードしてバックアップしておきます。

2. いきなり設立書類を作ろうとする

会計ソフトの乗り換え先として前から気になっていたfreee。
同社がやってるfreee会社設立というオンラインサービスを使います。

www.freee.co.jp

最初のページで入力を促される項目は以下のとおり。

  • 法人名
  • 法人住所
  • 連絡先電話番号
  • 代表社員情報
  • 資本金
  • 事業目的
  • 決算期
  • その他準備書類
  • 印鑑注文

所要時間5分と書いてますがまさかそんなわきゃないです。
商号は仮に決まっていたとしても、登記後の変更をあまりしたくない法人住所や、定番の印鑑の入手は予めやっておいたほうがよいです。
一旦中断してそれらを先に済ませます。

入力途中で半日ぐらい放置してたらfreeeから催促の電話とメールがめっちゃきました怖い。営業はそりゃ大事だと思いますが、入力した電番にかけるかもよ? って見えるとこに明示しておいて欲しいです。利用規約にはプライバシー情報をそれなりに使うとは書いてはありますけどもさ……

3. 改めてあらかじめ用意しなきゃいけなかったらしいやつら

ハンコはとりあえずあればよい

item.rakuten.co.jp

オンライン登記だと必須ではなくなったものの、実質的には未だ買わなきゃいけないみたいです。あと持ってたら急に偉くなった気がしてアガる(重要)。

楽天で元々ポイント10倍設定の格安はんこ4880円(うち300円はクーポン)を入手しました。5と0がつく日かつお買い物マラソンもやってたので、ミスド10個分ぐらいのポイントはつきそうで嬉しいです。

freee会社設立は1ページ目の一番下から買わそうとしてきますがアホ高いのでやめたほうが良いです

会社住所はバーチャルオフィスで

www.gmo-office.com

東京の弊拠点にほど近いアキハバラ住所が借りれるGMOオフィスサポートを選択。
登記が可能なうち最安となる月額1650円のプランにしました。

年額一括払いで初年度のみ3ヶ月分無料 + 適当に検索して出てきた10%オフのクーポンコードを使い、初年度13365円でした。

申し込み後に即OKとなるのではなく、クレジット支払いのあとスマホを使った本人確認(斜め角度から免許証撮ったりいろいろ)を行います。そのあとなにやら「審査」というプロセスがあり、土日挟んで丸3日ほど経ったころに「審査完了のお知らせ」というメールが届き、住所が利用可能になります。

別途で必要な書類は個人の印鑑証明書のみ

合同会社の立ち上げなのでシンプルなんだろうと思われますが、印鑑証明書のみでOKでした。印鑑の登録で50円、証明書の発行1通で300円。

幸い区役所の分所が近かったので証明書を発行しにいき、その足で帰りにコンビニに寄って30円でスキャンしてJPEG化します。あとでわかったのですが、スマホのカメラで撮った写真でも大丈夫なようです。


ここまでできたら、再度freee会社設立に戻って入力を再開します。
資本金やら決算期やらの決定は割愛して「事業目的」部分のポイントだけ簡単に書いておきます。

入力再開、事業目的はしっかり考えよう

www.freee.co.jp

合同会社であれば定款のほぼメインコンテンツだと思われる「事業目的」部分です。

目的ごとに1行ずつ記載していきますが、freee会社設立だと定型文がいくつも用意されていてそれをボタンぽちぽちで入力していくことができます。より具体的には、上記リンクの記事で紹介されている業種に関する事業目的文が一通り揃えられていて、それを順番に配置できる感じです。

逆にいうと、この定型文がカバーしているジャンルにはそこそこ偏りがある印象です。
そこで事例集を活用して、プリセット定型文が対応してなさそうだけど携わりたい分野(農業とか)に関しては自分でコピペ合体するなりして追加で書き込んでいきます。

keiei-support-plus-a.com

4. 定款書類の作成と確認

freee会社設立の2ページ目です。
紙定款にするメリットは一切わからないので、当然のごとく電子定款を作成することにします。

どのみち会計ソフトとして契約してみようという意向だったのでここでfreee会計を契約しておきます。すると作成費用が実質コミコミのような感じになります。

自分で作ってもよい

freeeからお金もらってるわけでもないのであえて言わせてもらうと、自前の電子署名でササッと定款作成してしまうことも可能です。ただしマイナンバーカードとリーダーを持っていなければならず、Acrobat Pro(体験版でもよい)のインストールも必要となります。

llc-myself.com

Acrobatじゃなくても法務省公式の電子署名プラグインなんてのもあります。

www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp

freeeで作成する場合は行政書士が見てくれる

先述のとおり僕はfreee会計を契約したので、そのまま画面指示に従って進めます。

このあと、自動作成された定款ファイルをそのまま使うか自分で編集するかを選び、後者の場合はWordファイルでダウンロード → 編集 → アップロード、を行います。

また同時に、定款の編集有無とは関係なく、個人の印鑑証明書をスキャンしたJPEG画像(スマホカメラ撮影も可)もアップロードし、最後に送信ボタンをクリックして「電子定款に必要なファイルを専門家へ送信」します。

送信するとすぐに「行政書士法人Bridge」から自動返信メールがきます。この中にあるリンクをクリックするとGoogleフォームが開き、正式に定款確認依頼事項を入力 & 送信して依頼が完了となります。

つまりfreee会計と提携し、これを年契約することによって「Bridgeに対する5営業日納品の通常依頼5000円が0円になる」というキャンペーンのようなものっぽいです。
その他、3営業日納品のお急ぎプランで+5000円、領収書発行で+1000円があり、これはfreee会計を年契約しようがしまいが追加できるオプションとして、この申し込みGoogleフォームから選択できるようになっています。

この選択結果によって有償となる場合は、フォーム送信後に銀行振り込みが必要となるようです。

そういえばファイル類の送信時になにかポップアップが出てきたけれども、Bridgeさんに情報共有しますよ〜同意してね〜的な明確な説明がなかったような……
そのあたりわりといい加減な気がしました。(うろ覚えなので同意ボタンがあったかも? もしあったのであればスミマセン)

とまあ文句垂らしていたところ、なんと3営業日後(提出日込みで4営業日)で電子署名済みの定款が戻ってきました。しかも事業目的の文言をしっかり確認、微修正までしてくれているという始末。

今回僕は0円でしたが、5000円支払っても上等だなと素直に感じました。
行政書士のお墨付きってだけで安心感あるもんね…… 特に自分で直接定款に加筆修正した場合とかね。今回はありませんでしたが。

5. 提出手段を決める & 出資金を入れる

登記書類の提出方法として「法務局へ直接持って行く」と「電子提出」がありますが、せっかくなので法務局まで散歩したいという庶民的な理由で前者を選びました。足繁く通うサムライ業の人たちに怒られそうだな。

ちなみにfreee会社設立では現時点で対応していないようですが、よりハイブリッドな「QRコード付き書面による申請」という方法も存在するようです(後日法務局行って初めて知った)。

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji162.htmlwww.moj.go.jp

提出方法選択後、出資金を入金します。
入金というよりも「資金を移動させた証明をとる」が正しいです。

今回は、自身が持っている三井住友銀行の2つの口座間でオンラインサービスを利用して振替を行い、その記録が書き込まれているWeb通帳を印刷しました。

当然、法人口座なんてまだ存在しないので、自分が持っている銀行口座の紙またはWebの通帳に「〇〇〇万円の振込」が表示されるような操作を行えばOKということです。
この際、1日の振込限度額やATMの引き出し限度額(一旦現金としておろして再度入金の場合)が資本金額以上の設定になっていることなどに注意が必要です。

6. 申請書類を作成する

「書類をダウンロード」ボタンをクリックすると、必要な書類がPDFでダウンロードできるので、それを自宅のプリンタなどで印刷します。

僕の場合はPDFが9枚出てきましたが、うち1枚は登記申請書の「控え」だったため、それを除いた8枚をコンビニで白黒印刷して80円でした。

法人設立よくばりセット

これに加えて法人印鑑セットと、百円ショップで朱肉、製本テープ、ホッチキス、CD-R(各1、合計440円)を入手すれば申請書類作成の準備が完了です。

綴じる書類の順番と別紙

各書類の所定位置に個人実印、法人実印をしっかり押印したあとはまとめていくのですが、このまとめ方に関してもfreeeがPDF(https://k.secure.freee.co.jp/pdfs/registration_guide_gk.pdf)で公開(検索でも出てきます)しているものの、ちょっと雑でわかりにくい点がいくつかあるので補足します。

上図のように、左7種類は番号順に並べ、冊子として左の長辺に2箇所ホッチキス留めをします。右2種類は綴じずにそのまま一緒に法務局に持っていけばOKです。(以下、この冊子のほうを「登記申請書」と呼びます)

右の別紙類に関しては、検索すると「書類クリップで留めたほうがよい」という記述がいくつも見つかりますが、実際は不要で問題ありませんでした(少なくとも東京法務局の場合)。

収入印紙6万円を買って貼り付ける

登記申請書2枚目と1枚目の合わせ目の真ん中に割り印を押しておきます。
次に郵便局や税務署などに出向き、合同会社の登録免許税として収入印紙6万円分(6万円表記×1枚)を購入し、登記申請書2枚目の台紙の真ん中に貼り付けます。

法務局へ持参する場合は途中で買うのが便利なので今回はそうしました。東京法務局であれば、同じビルに麹町税務署があるのでそこでも購入できると思われます。

登記申請書の背中は製本テープがラク

登記申請書はホッチキス2箇所で綴じたあと、製本テープで背表紙を作っておくと、表紙・裏表紙それぞれと製本テープの中間の各2箇所に割り印を押すだけでとても楽ですし、綺麗にまとまるのでおすすめです。

製本テープを使わない場合は、各ページすべての合わせ目に割り印を押す必要があり、折り目が増えてしまい美しくないです。まあこの書類は提出しても戻ってこないので、全然それでも問題ないのですが。好みでしょうかね。

電子定款PDFをネカフェでCD-Rに書き込む

今回の設立で一番面倒だった作業です。
いやだって今時分CDなんて使いますかい……? CDドライブがついてるPCなんて自宅にも勤めてる会社にももはやないし、ビックカメラやヨドバシにはUSB外付けのCDドライブならあるだろうけど、たった1回の書き込みに数千円払って買いたくもないし……。

アクセアやキンコーズといったビジネスサービスでも、USBメモリに入れたデータファイルをCD-Rに書き込むだとかそういうのはやってないみたいです。写真印刷系の会社が、SDカードやCFに入った画像をCDに書き込むのを辛うじてやってるかどうか、という程度の令和世紀。

ということで、USBメモリに入れた電子定款PDFを、快活CLUBで借りられる外付けCDドライブを使って書き込みました。ライフハック感ある。

ソフトクリームとコーヒーもいただいてしまいました。
法務局行く直前のことだったので落ち着けて助かる。。。。
しめて360円でした。神!

7. 法務局に持っていく(滞在時間:5分)

正気かと疑うぐらい一瞬で提出完了しました

千代田区は九段下にある東京法務局にきました。3階にいけばよいようです。
「印紙売場」との表示もあるので、郵便局や税務署に行く必要ももしかしたらなかったかもしれません。


3階に上がり、法人登記に関する窓口へ行きます。

※写真撮れそうな雰囲気ではなかったので窓口の画像はなし

窓口で待つことも並ぶこともなく、いらっしゃった係員に「この書類で合同会社の登記をしたいのですが」と申し出て、「6. 申請書類を作成する」で作成した 登記申請書 別紙(OCR用紙と法人印鑑届書) 電子定款入りCD-R の3つを手渡したところ「はい、では万が一問題があれば後日お電話でご連絡しますので」とだけ返され、以下の紙1枚をもらって終了。

「えっ本当にこれだけで大丈夫ですか🙄」← 本当にこんな顔して聞き返したのですがハイ大丈夫ですよ、とのことで、脚色も何もなくガチ5分ほどで法務局をあとにしました
ワックワクで法人印鑑持ってきたのに、おまえ出番無かったね……

8. 翌日、電話で確認がくる

書類提出した翌日の午後一番に法務局から電話がありました。
内容は「あなたの名前の苗字と下の名前のあいだに半角スペースがある」「本店住所の地番と建物名のあいだに半角スペースがある」の2点でした。

法人登記簿では半角スペースがつけられないらしく、この2点を取り払ってしまってもよいか? を念のために確認ということで電話連絡くださったようです。これはfreee会社設立の書類出力仕様上避けられないだけであり、もちろん問題なしということを返答すると「ではこのまま登記進めますね」とのこと。

9. わずか5日後に法人番号が確認できる

ちょうど5日後の5月2日の夕方ごろ。
「予定では5月12日に登記完了だけど、予め調べる方法を確認しておくか」とふと思い立ち、国税庁 法人番号公表サイトをおもむろに開いて自社名を入力してみたところ。

慣習的にボカシいれてます(いずれ無意味になるけどね!)

www.houjin-bangou.nta.go.jp

新たに設立登記をした法人の基本3情報(1.商号又は名称、2.本店又は主たる事務所の所在地及び3.法人番号)は、原則、設立登記完了日の16時又は翌稼働日の11時に、当サイトに掲載します。ただし、処理状況によっては遅れる場合があります。
なお、当サイトに掲載したことのお知らせは行っておりませんので、掲載の有無については、当サイトの「ホーム」画面から検索していただき、ご確認いただきますようお願いいたします。

ということで、予定より10日も早く登記完了と相成りました👏🎉

10. まとめ

  • 意外と簡単でした
    freee会社設立のおかげかな((ぜひ記事広告収入ください!!!))
  • 想定のン十倍早く登記完了してびっくり
    運良くいいタイミングに巡り会えたのか、書類が完璧だったからなのか、などの理由は知れるならぜひ知りたいところ。
  • 一番の難関はCD-R焼き
    書いてないけど調べたり思案したりしてた時間が実際一番長かったです。

CDに関しては、いずれオンラインが主流になったり、USBメモリみたいな代替メディアに置き換わっていくんだろうな、いやぜひ置き換わってくれ。という気持ちです。なんだか利権とかが絡んでる気がしなくもないですね。

とはいえ人生でそう何回も法人登記することはないと思われるので、もしかしたらもう気にすることもなさそうですが。

さて僕のお仕事、これからも気を引き締めて頑張っていきますし、またこの記事が「俺もさくっと会社作りてんだよ!」という方の参考になれば幸いです。

気になる設立費用

資本金を除き、設立にかかった総額費用は以下の通りになりました。

  • 人印鑑セット:4580円(+300円クーポン)
  • バーチャルオフィス年間契約:13365円
  • 印鑑登録:50円
  • 印鑑証明書1通:300円
  • 印鑑証明書スキャン:30円
  • freee会計ミニマムプラン年間契約:26136円
  • 登記申請書類印刷:80円
  • 朱肉・製本テープ・ホッチキス・CD-R:440円
  • 登録免許税:60000円
  • 快活CLUB:360円

合計:105341円


登記後もいろいろと手続きが大変そう。続きどんどん書いてゆきますよ。