概要
「Cardiaction」は、着用者をシンセサイザーにしてしまう電子ウェアです。
着用した人の心電図波形を読み取り、それをもとにして電子音を合成するので、理論上は着る人によって異なる音を奏でます。衣服表面に描かれた鍵盤を押さえることで演奏ができ、またボタンを模したボリュームつまみによって音声合成のパラメータを変化させることができます。
作品名は、心臓を意味する接頭辞の「Cardio-」と、動作を意味する「Action」からなる造語を由来としています。
コンセプト
電子楽器はギターやピアノのようなアコースティックな楽器とは異なり、音作りのパラメータは明確な数値によって決定されることがほとんどです。そのため、奏者による音色そのものの表現、あるいは環境が楽器素材に与える影響による音の特性変化の独特さといった点に乏しくなる傾向があります。そこで、奏者の生体信号を音声合成に取り入れることで、誰が触っても異なる表現が可能な電子楽器を作りたい、と考えたのが製作のきっかけとなりました。
電子楽器において最も重要となる部分は「音源」です。これは「電子楽器の心臓部」とも言えますが、これを人間にとって最も重要な器官のひとつである「心臓」そのものに置き換えることにしました。
そのため、奏者だけでも、Cardiaction単体でも音を出すことはできません。当作品の制作は、奏者とCardiactionがひとつになってはじめて楽器として成立する、人と機械の融合を目指したプロジェクトです。
デザイン
シンプルなダブルボタンベストを参考にしつつ、ボタン部分は非対称のシングルにして操作可能なパラメータつまみとしています。配色はグランドピアノをイメージさせる白黒ツートーンカラーです。
右半身部分は鍵盤となっており、圧力センサが埋め込まれていて、強弱・半音まで含め実際に演奏することが可能です。 左半身には、心電図情報と同期してフルカラーで光る「Cardiaction」のロゴと、ピッチベンドとして機能する無段階のタッチセンサが配置されています。
ロゴは、「C」部分は心臓の直上に位置させて「電源マーク」様のデザインを施し、その他の文字は「C」の文字から発生する心電図をイメージした形状にしています。
四肢にとりつけられた電極から3種類の心電図を読み取りますが、電極についているLEDはそれぞれ、右腕:赤、左腕:黄、右脚:無色(黒)、左脚:緑、となっています。これは実際に医療現場で使用される心電計の電極色と同一としています。
全体の配線
信号処理部
出展イベントなど
- NHK連続テレビ小説 「半分、青い」2018.8.30 放送回 において「弾けるTシャツピアノ」として登場
- 明星和楽2016 (2016.11.13 | 福岡県福岡市)
- Maker Faire Shenzhen 2016 (2016.10.23 | 中国・広東省深圳市)
- Maker Faire Tokyo 2016 (2016.8.6 - 7 | 東京都)